【フランチャイズ契約書の作成方法】ひな形や注意点を簡潔に解説
フランチャイズ契約書の作成にお困りではありませんか?
「契約書の記載内容がわからない」
「自分なりに調べてみたけどよくわからない」
このようにお考えの方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかしご安心ください。
本記事では、「フランチャイズ契約書に記載すべき事項」「契約書の雛形」「契約書作成時の注意点」について詳しく解説します。
この記事を読み終えるころには、フランチャイズ契約書の内容や注意点が把握できているはずです。
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フランチャイズ契約書の7つの必須記載事項
フランチャイズ契約書の内容は、「中小小売商業振興法」で定めている「事前開示項目」に沿って作成します。
事前開示項目には、チェーン本部の概要やテリトリー権の有無・加盟金やロイヤリティなど22の項目があります。
これらの項目は7つのグループに大別可能です。
事前開示項目について詳しくは、「中小企業庁」が公開している「フランチャイズ事業を始めるにあたって」をご確認ください。
この記事では7つの必須記載事項を簡潔にまとめます。
「記載事項の項目表を閲覧しただけではわからない」という方は参考にしてください。
1-1. フランチャイズ本部の情報
記載事項1~8は「フランチャイズ本部の概要」を記載します。
この部分は契約書の第Ⅰ部に記載されており、それ以外の項目は第Ⅱ部に記載されます。
契約書の冒頭部分に企業理念や方針について、その次に会社の概要について述べているケースが多いです。
概要部分には、社名や所在地・資本金・設立などホームページに記載しているような基本情報のほか、フランチャイズ事業の開始日や加盟店の数の推移・フランチャイズ契約に関する訴訟件数を記載します。
訴訟件数は過去5年分のデータを記載し、賃借対照表および損益計算書・売上推移・店舗数推移などのデータは3年分のデータを記載している場合がほとんどです。
1-2. 加盟金・ロイヤリティ・保証金などの詳細
記載事項12~15と17~19は、「加盟者が本部へ支払う金銭や販売条件に関する事項」です。
具体的には、契約の名称や売上・収益予測の説明・加盟金やロイヤリティ・金銭の貸し付けをする場合の利率と算出方法などを記載します。
徴収時期や徴収方法・金銭の返還の有無や条件なども含みます。
金銭に関わる事項は特にセンシティブな部分になります。
そのため、書類に記載するだけでなく口頭で説明できるように準備しなければなりません。
「例えばこのケースでは…」と具体例を用いるとわかりやすいでしょう。
ロイヤリティなどは計算方法と費用の根拠を明確にしておきましょう。
例えば、「ロイヤリティは総売り上げの○%」「広告等分担金は総売り上げの○%」などです。
根拠は「備考」や「性質」の欄に記載されているケースが多く見られます。
「19. 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項」「21. 使用される商標、照合その他の表示」についてもしっかりと記載してください。
加盟者が本部の何を利用できて、そのための対価をどのくらいの支払うべきなのかを明確にしておきましょう。
1-3. テリトリー権の有無・近隣の出店計画
記載事項9は、「テリトリー権」の有無と近隣の出店計画に関する情報です。
「テリトリー権」とは、同一チェーン内において加盟店に一定の領域の商圏保護や地域制限を設けることです。
街を歩いていて「このコンビニさっきの道にもあったな」と思うことはありませんか?
コンビニエンスストアでは認められていないケースが一般的で、地域によっては同一のコンビニエンスストアが近隣に存在しています。
テリトリー権がなくても、将来近隣に同一チェーンの店舗を出店する計画や競合が起きる可能性の有無について、事前に開示されることが望ましいです。
1-4. 経営の指導など店舗運営に関する事項
記載事項の20は「経営の指導に関する事項」です。
加盟時の研修や講習会の開催の有無とその内容、また継続的に行われる経営指導の方法や実施回数などを記載します。
フランチャイズに加盟するメリットは、本部の経営ノウハウや販売ルート、および商標を利用して開業当初から安定した店舗運営を期待できる点です。
研修や講習会の内容や回数が十分であれば、加盟者も安心して開業できます。
またフランチャイズ本部はブランドイメージを維持するために、加盟店の品質を一定に保つ必要があります。
加盟店が増えるほど高い統率力が必要であり、一部の店舗の品質が低下すれば全店舗の評判を落としかねません。
そのため「年に1回」「半年に1回」など定期的に研修・講習会を行ったり、加盟者と本部専用のポータルサイトやSNSで情報交換をしたりするケースもあります。
SNSでの情報交換などすべての詳細を書く必要はないかもしれませんが、開業前の研修やその後の講習会の内容と頻度については十分に情報を記載しておきましょう。
1-5. 契約期間や更新・解除に関する事項
記載事項22は「契約期間や更新・解除に関する事項」です。
更新・解除についてはそれぞれの条件と手続きを示し、契約解除の損害賠償金の額・算出方法についても記載します。
契約解除にはさまざまなケースが考えられます。
期間満了のほかに、契約違反や運営の行き詰まりなどのケースがあるでしょう。
「更新・解約を希望する場合は何ヵ月前までに申告すればよいのか」「どのようなケースにどれだけの違約金が発生するか」を記載する必要があります。
また、本部から契約解除ができるよう条件を記載しておくことも重要です。
「加盟契約の違反」「信用低下」「企業秘密等の漏洩による背信行為」「経営放棄」などの事由が、加盟契約を即刻解除できる理由として妥当でしょう。
1-6. 契約終了後に関する事項
記載事項10は、「契約終了後における特定のフランチャイズ加盟への禁止や類似事業への就業制限」、11は「契約期間中・終了後における情報開示の禁止や制限の有無」について記載する事項です。
例えば以下のような内容が挙げられます。
「契約期間終了後1年間は同業店舗の経営・同業種のフランチャイズチェーンに加盟してはならない」
「閉店後○日以内に店舗の商標を付けた看板が撤去されたことを示す写真を本部へ送付する」
同業種店舗の経営やフランチャイズチェーンへの加盟を制限するケース、またフランチャイズに加盟しているからこそ使用が許される商標・サービスマークの撤去については、どのフランチャイズでも多く見られる事項です。
1-7. その他の事項
記載事項16の「加盟者に対する特別義務」など、付け加えたい条件があれば記載しておきましょう。
特別義務の例のひとつは、「店舗の構造や内外装について決められたデザインを採用すること」です。
店舗イメージを統一したいのであれば、内外装のデザインや店舗の構造・接客・販売ルールの徹底が必要な場合があります。
そのため、店舗の施工業者は本部が指定するケースもあります。
この項目の記載が終われば、説明確認欄のチェックと署名・捺印のページを作成して終了です。
説明確認欄のチェックは、フランチャイズ本部が加盟者に対して契約書の説明をしたかどうかの証明にもなります。
契約内容を書面で示して説明することは「中小小売商業振興法」により義務付けられているため、「説明した」という証拠を残すためにも忘れず作成しましょう。
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フランチャイズ契約書の雛形はあるの?
契約書の内容は理解したものの、「やはりどのように書けばよいのかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。
面倒な書類作成には、「雛形」や「テンプレート」があると便利です。
これらのものが準備されると、記載内容以外の装飾部分や構成などに時間が取られず、一から書類を作成するより楽にできます。
「フランチャイズ契約書の雛形は簡単に見つかるのかな?」と不安に思っている方も大丈夫です。
一部のサイトではフランチャイズ契約書の雛形が公開されています。
2-1. 法律事務所や行政書士事務所が公開している
フランチャイズ契約書の雛形は、法律事務所や行政書士事務所などのサイトで公開されています。
「フランチャイズ 契約書 雛形」と検索すれば出てくるため、複数件見比べてください。
どのサイトの雛形を使用するかは自由ですが、行政書士や法律事務所など専門家が作成した雛形の使用がおすすめです。
誰が運営しているのかわからない場合は、サイト下部にある「運営会社」のリンクから特定しましょう。
以下にリンク先を記載していますので、参考にしてください。
「フランチャイズ契約書・FC契約書ドットコム」(運営:マスター行政書士事務所)
「弁護士法人阿部・楢原法律事務所」
2-2. 実際の契約書を参考にできる
ネットで公開されているフランチャイズ契約書の雛形はスタンダードなものです。
そのため特定の業種ゆえに特筆すべき事項がある場合、雛形のみでは完璧な契約書が書けない場合もありえます。
業種別にフランチャイズ契約書の見本を閲覧したい方は、「一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会」が管理運営している「JFAフランチャイズガイド」を参考にしてください。
「小売業」「外食業」「サービス業」からさらに細かく業種が分かれており、閲覧したい特定の業種の契約書が簡単に見つかります。
契約書を見ながら、「不備はないか」「自社でも追加すべき項目はないか」と比較しながら作成するようおすすめします。
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フランチャイズ契約書作成の注意点
ここまでフランチャイズ契約書の記載事項や雛形について解説しましたが、ここからは契約書作成時の注意点について説明します。
加盟検討者に対して契約書を提示するのはもちろん、内容についてきちんと説明できる状態でなければなりません。
あらゆるトラブルを回避するため、特に金銭に関わる以下の3つの事項にご注意ください。
3-1. 売上・経費予測の算出方法は明確に説明できるか
店舗オーナーの収入に関わる「売り上げ」や「経費予測」は重要事項です。
どのフランチャイズに加盟するかを決める判断材料の1つとなるため、算出方法を明確にした上で説明できなければなりません。
しかしこれはあくまで予測であり、募集時に提示したものと加盟後の経営実態が異なる場合はありえます。
簡単に言えば、募集時には「月○○○万円の収益が見込めます」と書いてあったにも関わらず、実際に経営してみると「額が大幅に満たない!」などのトラブルが発生してしまうということです。
このようなトラブルを防止するためには、加盟店の募集段階で算出方法を明確に説明する必要があります。
もちろん、予測通りに収益が挙げられるとは加盟店のオーナーも考えてはいないでしょう。
しかし予測と大幅に異なればトラブルへと発展しかねません。
既存店や同業他店と比較し、妥当性のある算出方法で予測をしましょう。
3-2. 開店できなかった場合の金銭の返還について
この点は、記載事項18の「加盟に際し徴収する金銭に関する事項」にある、「オ. 当該金銭の返還の有無及びその条件」に当たります。
この項目では、「店舗物件が未確定のまま加盟金を支払ったものの、何らかの理由で開店できなかった場合は加盟金が返金されるのか」について記載しておきましょう。
どのようなケースでも加盟金の返還を認めない場合は、「加盟金はいかなる事情があろうとも返還しない」という旨を記載します。
加盟金の返還に対応するのであれば、どのような条件であれば返還に応じるのか、請求後何ヵ月以内に変換するのかを記載します。
3-3. 中途解約する際の違約金
1-5の見出し「⑤契約期間や更新・解除に関する事項」でご紹介したように、契約解除の際に発生する違約金や損害賠償金についての記載は大切です。
本部から加盟店の契約を解除する条件も必須項目です。
契約書に本部が行使できる契約解除の条件を記載しなかった場合、「契約書には条件が記載されていないのに契約を一方的に解除された!」と、トラブルにつながる可能性があります。
「企業機密の漏洩」や「信用低下」など明らかに契約解除されてもおかしくないケースであるとしても、「契約書に記載されていないから」と契約の続行を求められては面倒です。
さらに契約解除時の違約金・賠償金の請求の有無についても説明しておきましょう。
請求する場合、「算定方法はどうするのか」「業績不振によって解約せざるを得ない状況であった場合は必要なのか」など、さまざまなケースを想定した上で記載します。
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まとめ
本記事ではフランチャイズ契約書の内容や注意点について解説するとともに、雛形のご紹介もしました。
雛形を使用すれば契約書の作成は簡単ですが、実際に同業他社の契約書と見比べてみると足りない部分があるはずです。
契約書を書き始めた段階で追加項目が増えていくと手間になるため、フランチャイズパッケージの内容を検討する段階で同業他店と比較しておきましょう。
記事中でご紹介した「JFAフランチャイズガイド」には他社のフランチャイズ契約書が公開されています。
参考になるためぜひご活用ください。
フランチャイズ本部と加盟店との間はフランチャイズ契約により結ばれています。
契約は長期に渡り効力を有するゆえに、内容の作成は慎重に行わなければなりません。
あらゆる事例を想定した上で、契約書を作成しましょう。
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