【フランチャイズマニュアル】作成時のポイントや種類・管理方法を解説

「フランチャイズマニュアル」はフランチャイズ本部にとって「命」のようなものです。
マニュアルには本部がこれまで培ってきたノウハウが詰め込まれており、高いロイヤリティを支払うだけの価値があります。
しかし内容が不明瞭だったり不足している情報があったりすると、加盟店の経営が危うくなるほか、しっかりと管理しなければ外部に流出する危険もあります。
本記事ではフランチャイズ事業を成功させるため、マニュアルの必要性と作成時のポイント・種類・管理方法について解説します。
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フランチャイズマニュアルの必要性
「マニュアル」とは、作業や操作の手順をまとめたものです。
ほかにも「手引書」「取扱説明書」「手順書」などと呼ばれます。
業務を円滑に進めるため、フランチャイズ事業においてもマニュアルが用意されます。
フランチャイズの加盟店は「個人事業主」や「法人」です。
そのため、フランチャイズ本部とは運営者が異なります。
加盟者はいわば「自分の店」を持っている状態ともいえますが、自分の店であるにもかかわらずオリジナルの手法で経営できないのはなぜでしょうか?
1-1. 商品・サービスの品質を高く保つ
フランチャイズでは加盟店が本部の看板を使用して運営するため、ブランド力の維持が非常に重要です。
商品・サービスの品質を高く保つ必要があり、そのためにマニュアルが存在します。
もしも加盟店がマニュアルに従わずオリジナルの方法で経営すればどうなるでしょうか。
「フランチャイズチェーン」といえば、どの店舗も同じ看板・同じ商品・サービスを提供していることが特徴です。
しかし同じ看板を掲げる店であるにもかかわらず、商品やサービスの提供方法をオリジナル化してしまうと、店舗によりサービスの質が異なってしまいます。
そうすると同じ看板を掲げる意味はなく、フランチャイズチェーンではないまったく別の店となるでしょう。
商品とサービスの品質を一定に保つことはブランド力の維持につながるため、フランチャイズ本部はマニュアルを作成して統一する必要があります。
チームや団体のリーダーをしたことがある方はわかるかもしれませんが、人数が多くなるほど全体の統率は難しくなるものです。
特に全国で展開するフランチャイズでは加盟店の数も多いため、全体の品質を一定の水準以上に統一できなければ信用の低下にもつながりかねません。
サービス品質や信用の低下を防ぐためにも、フランチャイズではマニュアルが作成されます。
1-2. 業務・運営・システムなどをわかりやすくする
マニュアルには通常、ケース別の対応方法や商品の提供方法などが記載されており、しっかりと内容を把握すれば支障なく業務を進められる仕組みになっています。
多くのフランチャイズが売りにしている「未経験でも開業できる」という点は、本部からの指導やマニュアルがあるからこそ成立していることです。
しかしマニュアルが雑であれば、未経験者が店を運営することは難しくなるでしょう。
特にまったく別の業種からの参入であれば、加盟するフランチャイズの業界では当たり前のことにも気がつけない可能性があり、あっという間に経営が悪化する恐れがあります。
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フランチャイズマニュアル作成のポイント
フランチャイズのマニュアルを作成する際のポイントは主に以下の3つです。
- ・項目を作り全体像をつかむ
- ・手順やルールを明瞭化する
- ・マニュアルの形式を決定して作成する
マニュアル作成の手順には多くの情報が盛り込まれているため、まずはポイントから理解しましょう。
2-1. 項目を作り全体像をつかむ
作文を書く授業ではまず書きたい事柄をアウトプットし、これをもとに構成を組み立てる手法がしばしば用いられます。
マニュアル作成時にこの手法を用いれば、項目づくりと全体像のイメージが簡単にできるでしょう。
必要な項目はモデルケースとなる直営店での検証で明らかになるため、検証実施後にマニュアルを作成する必要があります。
フランチャイズマニュアルに必要な項目を作成し、全体像を完成させた次はブラッシュアップします。
足りない項目がないかどうか、このときに確認しておきましょう。
直営店での検証結果など、実際の現場の動きをしっかりと把握していれば、足りない項目に気付けるはずです。
2-2. 手順やルールを明瞭化する
マニュアル作成時には店舗の運営や商品・サービスの提供内容について、手順やルールを明瞭にすることを意識しましょう。
例えばコーヒー1杯提供するとしても、
- ・本部から提供されるコーヒー豆を使用するのか
- ・それとも本部が提供するルートで直接コーヒー豆を仕入れるのか
- ・コーヒー豆の種類は何を使用するのか
- ・コーヒーの種類別にカップを分けるのか
など、統一すべき事項はたくさんあります。
特に衛生管理は徹底して行い、どのくらいの頻度でどのように清掃するかをはっきりとさせておいた方がよいでしょう。
まったく違う業種から飲食業のフランチャイズに加盟した加盟者に対して、「客の退店後にテーブルを片付けて拭く」とだけ伝えても、細かなことを理解してくれないかもしれません。
例えば、「未使用のおしぼりや水で湿らせた雑巾で拭くだけ」と理解されてしまう可能性もあるでしょう。
食中毒を防止するには、アルコールをテーブルに吹きかけて消毒したり、毎日閉店後に希釈したキッチン用の漂白剤などでダスターを殺菌・消毒したりする必要があります。
しかし、それらの知識がない人に対してあいまいな説明をしてもきちんと伝わりません。
普段から衛生管理に厳しい方や飲食店で働いている方にとって、「テーブルにアルコールを吹きかけてダスターで拭く」という一連の動作は常識かもしれませんが、その思い込みは大変危険です。
衛生管理を怠れば食中毒事故が起こる可能性があり、そうなれば営業停止命令が下されます。
ブランドイメージもかなり悪くなり、来店率も低下するでしょう。
商品やサービスを正しく提供し店内の衛生環境を整えるためにも、手順やルールは明瞭に記載しましょう。
2-3. マニュアルの形式を決定して作成する
マニュアルの形式も重要なポイントです。
主に紙・画像・動画の3つがマニュアルの形式ですが、それぞれメリット・デメリットがあります。
マニュアル作成時にはそれらをよく理解し、違う形式のマニュアルも組み合わせると、より理解しやすいマニュアルとなるでしょう。
例えば紙のマニュアルは「何度もその場で読み返せる」などのメリットがありますが、書類を読むのが苦手な方もいます。
その場合、「画像」や「動画」のマニュアルや参考資料があると理解しやすくなります。
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【本部用】フランチャイズマニュアルの種類
フランチャイズのマニュアルには「本部用」と「加盟店用」の2つがあります。
そこからマニュアルの種類も枝分かれするため、フランチャイズに必要なマニュアルの種類をすべて並べて説明しても、情報量が多いだけで理解が追いつきません。
そこでこの章では、本部用に作成するマニュアルについて解説します。
3-1. ①オープン・開業マニュアル
「オープン・開業前のマニュアル」は、オープン作業をサポートするスタッフに必要な内容を記載します。
主な内容は、オープンまでの流れやポイント・スケジュールなどです。
新たな加盟店舗のオープン日は、加盟者にとっても本部にとっても特別な日となります。
オープン・開業時にミスを起こさず幸先のよいスタートを切るためにも、本部用オープン・開業マニュアルを作成しましょう。
3-2. ②SVマニュアル
「SVマニュアル」は、加盟店の経営サポートをするスーパーバイザー向けのマニュアルです。
「スーパーバイザー」とは、管理者や現場監督のようなもので、経営指導をする役職です。
SVマニュアルには、フランチャイズの基礎知識や自身の役割・スーパーバイジング活動の進め方・加盟店からよくある質問などをまとめています。
「スーパーバイジング」とはつまり経営指導、いわゆる「コンサルティング」です。
スーパーバイザーといえども最初から完璧な経営のスペシャリストではありません。
しかし、それを言い訳にした不十分な経営指導も許されません。
担当者が自身で努力して知識を身につけることも必要ですが、人員を配置する本部もマニュアルを作成するなどのサポートが必要です。
3-3. ③加盟店開発マニュアル
「加盟店開発マニュアル」は、加盟店開発業務の担当者向けのマニュアルです。
簡単にいえばフランチャイズ加盟店を増やすため、集客や営業などの活動をする担当者向けのマニュアルを指します。
内容は主にフランチャイズの基礎知識と加盟店開発の進め方・開発時によくある加盟店からの質問などです。
加盟店開発担当者とのコンタクトは、加盟検討者にとって最初に訪問する窓口でもあります。
契約内容について質問された際にうまく回答できなければ、簡単に候補から外されてしまうでしょう。
加盟店を増やしてフランチャイズ事業を拡大し軌道に乗せるためにも、担当者がフランチャイズ事業のコンセプトや契約書の内容を熟知し、必要な項目について熟考した上で加盟店開発マニュアルを作成しなければなりません。
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【加盟店用】フランチャイズマニュアルの種類
この章では加盟店用のフランチャイズの種類について解説します。
本部用マニュアルの使用者は担当ごとに異なります。
しかし加盟店用のマニュアルの場合、事業に関わるすべてのスタッフを対象としたマニュアルについて、事業責任者がしっかり管理・把握しなければなりません。
4-1. ①基本マニュアル
「基本マニュアル」は本部の理念やコンセプトなどをまとめたものです。
フランチャイズ事業に関わるすべての人が把握すべき内容をカバーしていて、理念や経営指針・ブランドコンセプト・ハウスルールなどがまとめられています。
4-2. ②店舗運営マニュアル
「店舗運営マニュアル」は「オペレーションマニュアル」とも呼ばれ、事業に関わるスタッフ向けのマニュアルです。
マニュアルの内容は、主に運営の手引きなどを記載しています。
具体的には、1日の営業の流れや接客の流れ・商品・サービスの提供方法・食品の調理方法・オープン時の作業・閉店後のクローズ作業などです。
商品・サービスの提供方法や食品の調理法などはブランド力の維持にもつながるため、詳細までわかりやすく記載しましょう。
4-3. ③管理マニュアル
「管理マニュアル」とは、店長などの事業責任者が管理すべき項目をまとめたものです。
マネジメントマニュアルとも呼ばれ、主に以下の内容をまとめています。
- ・管理者の役割と求める資質
- ・売上・経費・利益管理について
- ・販促活動について
- ・スタッフの採用と育成・管理
- ・クレーム時の対応
4-4. ④販促マニュアル
「販促マニュアル」は販売促進や広告宣伝のスケジュール・手法をまとめたものです。
管理マニュアルにも販促活動について記載している場合がありますが、より強化したいのであれば管理マニュアルとは別に販促マニュアルを作成する方がよいでしょう。
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フランチャイズマニュアルの管理方法
フランチャイズマニュアルはそれまで培ってきたノウハウを詰め込んだ、フランチャイズ本部の命ともいえるものです。
万が一流出した場合は多額の損失も考えられるため、徹底して管理しなければなりません。
ではマニュアルの管理は具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
ここからは、マニュアルの流出を防止するための管理方法について解説します。
5-1. データで提供しない
データは簡単に印刷・改ざんでき流出の可能性も高いため、絶対に避けましょう。
マニュアルの量が多くても紙媒体で提供し、「画像や動画は専用のポータルサイトのみで閲覧できる」などの工夫が必要です。
5-2. シリアルナンバーを印字する
万が一マニュアルが流出した際にどの店舗から流出したのか特定できるよう、紙のマニュアルには「シリアルナンバー」をすべてのページに印字します。
本部で管理する加盟者データにマニュアルのシリアルナンバーもあわせて記載しておけば、加盟店とそのシリアルナンバーを簡単に管理できるでしょう。
5-3. 原本データへのアクセス権は幹部のみ
フランチャイズマニュアルの流出経路は加盟店のみではなく、内部からも考えられます。
内部流出を避けるためには、原本データへのアクセス権は幹部のみにするなど、一部の人間にしか権限を与えないようにしましょう。
パソコンやよく使うサイト・アプリなどのパスワードを忘れないよう、付箋やメモに書いてディスプレイやキーボードに貼っている方もいますが、それではパスワードの意味がまったくありません。
銀行口座の暗証番号をキャッシュカードに書いているようなものです。
特定の人物のみにパスワードを与えるのであれば、その管理も徹底しましょう。
5-4. 契約終了後は回収する
フランチャイズ契約書には契約終了後にマニュアルを回収することを必ず明記します。
契約書に明記していないと、「マニュアルは本部からもらったもので貸与されたものではない、契約書にも回収する旨を記載していない」と、トラブルに発展することも考えられるからです。
回収時には「すべてのマニュアルがそろっているか」「欠けているページはないか」を必ず確認しましょう。
マニュアルが複数存在し、見落としなどのミスが発生しそうな場合は、回収時専用の表をあらかじめ作成しておけば管理しやすいです。
シリアルナンバーと事業主名を照合し、すべてのマニュアルを回収しましょう。
マニュアルの複製など、情報を流出させた場合のペナルティもフランチャイズ契約書に記載しておけば、「契約後のマニュアル回収に従わなかった際の罰則はない」と主張されることを防げます。
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フランチャイズのことなら「ビジェントフランチャイズ」にお任せ
フランチャイズ本部を立ち上げる際はパッケージ・契約書・マニュアルなど作成する書類も多いほか、加盟店の募集などするべきことがたくさんあります。
わからないことや知りたい知識があって専門家に相談したくても、どこに相談すればよいのかわからないこともあるでしょう。
フランチャイズ本部の立ち上げや加盟店募集のための宣伝方法についてわからないことがあれば、フランチャイズビジネスのサポートにおいて多数の実績がある「ビジェントフランチャイズ」にご相談ください。
「ビジェントフランチャイズ」は、フランチャイズ加盟募集で独立・開業・起業する情報比較サイトです。
専任のコンサルタントが、広告の打ち出し方や他社事例などの情報共有・募集後のフォロー・稼働率を上げるためのアドバイスなど、細かくサポートいたします。
フランチャイズ事業について不安なことや相談したいことがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。
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まとめ
フランチャイズマニュアルの必要性や作成時のポイント・種類・管理方法について解説しました。
店舗の運営方法や料理のレシピ・提供するサービスの極意など、多くのノウハウを詰め込んだフランチャイズのマニュアルは、その内容を教える対価として、加盟店からロイヤリティを受け取るに値する価値があります。
したがって、その管理方法を徹底すべきであることは自然と理解できるでしょう。
フランチャイズマニュアルをめぐっては、商品・サービスの品質を保ちブランド力を維持するために必要とされる一方で、情報を流出させてしまう危険性も十分にあります。
「契約書に契約後のマニュアルの取り扱いについて書かれていない」「マニュアルの内容に不備がある」などと、加盟店との間でトラブルにならないためにも、マニュアルの取り扱いについては契約書にしっかりと記載しておきましょう。
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