フランチャイズ・システムのメリット・デメリットとは
独立開業を目指すには、さまざまな方法があります。中でも、フランチャイズ・システムによって開業を考えている人も多いでしょう。 フランチャイズとして大手グループの傘下に入り開業すれば、さまざまなメリットを受けられます。
上手くいけば開業と同時に高い利益を上げられるケースも十分にありえます。
一方で、フランチャイズにはデメリットもゼロではありません。フランチャイズのいい部分も悪い部分も事前に把握したうえで独立開業の準備を進めましょう。
また、どのグループの傘下に入るかでシステムがまったく異なるため、事業主には細かい下調べも重要です。
ここでは、フランチャイズで独立開業する際に起こりがちなメリットとデメリットをまとめました。
1
フランチャイズでは資金調達が楽になる!
独立を目指す事業主にとって大きな問題が資金調達です。個人で十分な資金を貯蓄できない場合、金融機関などに融資を相談しなければいけません。
しかし、まったく実績のない事業主に対しては金融機関の資産も厳しくなります。
満足な資金を融資してもらえないまま、開業が遅れていく可能性もありえるのです。
しかし、フランチャイズによって開業すると金融機関の融資審査に通りやすくなる傾向があります。
すでに知名度があり、経営が安定しているグループの名前を出すことによって、金融機関からの信用が得られるからです。
また、必要な資金を大幅に削減できるのもフランチャイズ・システムのメリットでしょう。
たとえば、個人事業として開業を目指す場合、物件探しから宣伝費、人員募集までを事業主自身で準備しなければいけません。
フランチャイズの場合、グループ会社が既存の物件を用意してくれることもあります。必要な資金が少なくなるので、開業までの時間も早くなるでしょう。
2
フランチャイズは経営の安定度が高い
独立開業したばかりの店舗は経営を安定させるまでに苦労しがちです。
リピーターが確保できるまでは利益の予想もつきにくく、思わぬトラブルに時間をとられる場面も珍しくありません。
また、資材の供給ルートも早めに確立できないと商品をコンスタントに供給できなくなります。
経営ノウハウが身についていない、開業したての事業主はクリアすべき課題に右往左往することでしょう。
フランチャイズで開業すると、大手グループが蓄積してきたノウハウやコネクションをスタート時点からフルに活用できます。
資材の供給ルートも、物件のメンテナンス業者も親会社が用意してくれるので大きな心配が不要です。
また、経営についてのアドバイスをもらえるので分からないことがあったらすぐに相談できます。
親会社が持つ過去のデータをもとに的確な経営の修正が施されるため、正解がわからない状態で働かなくても利益を上げられます。
フランチャイズでは安心感を持って開業できるメリットがあるのです。
3
親会社の知名度を利用できる
開業後、多くの店舗が悩むのは知名度の問題です。消費者は基本的に知名度が高く、提供されるサービスのクオリティが予想できる店舗を利用しようと考えます。 そのため、開業直後の店舗は敬遠される傾向があります。 開店キャンペーンなどの方法で一時的に集客はできても、固定客の獲得につながるとは限りません。 そもそも、店舗が開業された事実を宣伝すること自体が難しく広告費なども決して安くは抑えられないのです。
開しかし、フランチャイズで開業すれば親会社の持つ知名度を利用できます。 消費者も聞き覚えのあるグループの新店舗だと分かれば、警戒心を解いて足を運んでくれます。 また、開店から時間が経っても親会社の宣伝力は重要です。 多大な宣伝費を割いてメディアや紙媒体に広告を載せなくても、親会社が宣伝を行ってくれるので経営者は営業活動に集中できるメリットがあるのです。
開フランチャイズ・システムを上手く利用すれば、開業してすぐに経営を軌道に乗せることも夢ではありません。
4
ロイヤリティ・研修費の存在
フランチャイズのデメリットとして代表的なものは、ロイヤリティの存在でしょう。
フランチャイズでは、親会社との取り決めにしたがってロイヤリティを上納する必要があります。
ロイヤリティのシステムは「利益の一部」である場合もあれば、利益にかかわらず毎月一定額を納めなければいけない場合もあります。
ロイヤリティの額が高ければ、たとえ大きな利益が上がった月でも手元に残る金額が少なくなるのです。 その結果、売上をなかなかプールしておけずに経営が苦しくなってしまうケースもありえます。
また、フランチャイズでは親会社の経営ノウハウや技術を教わるための研修会が催されていることもあります。 親会社によっては研修会への出席を開業の絶対条件に設けています。
そして、研修費を経営者から払ってもらうのですが、その額は決して安くありません。資金調達で切り詰めて暮らしている事業主には痛い出費です。 フランチャイズだからといって、必ずしも働いた分だけ利益になるとは限らないのです。
5
他店に足を引っ張られるリスクも
フランチャイズで開業するということは、大手グループの一部になる選択であり、経営者個人の意見を押し通せなくなります。
優先すべきはグループ全体の理念と価値観なので、自分好みの経営を行いたい気持ちが強い経営者には向かないシステムだといえるでしょう。
そして、フランチャイズ店舗にはグループのブランドイメージを汚さないための振る舞いが求められています。
店員の態度やサービスの低下によって顧客からクレームを受けた場合、グループ全体のイメージが悪くなるために親会社から厳しい警告を受けることも珍しくありません。
何らかのペナルティが課せられるケースも一般的です。また、消費者は、グループの系列店を同一視しがちです。
自店がどんなに誠実な経営を心がけていても、他の店舗や親会社が犯した不祥事の巻き添えをくらうリスクもあります。
他店に足を引っ張られて売上を左右されるような事態がありえるのはフランチャイズのデメリットの1つです。
6
フランチャイズは経営拡大に限界が
多くの事業主は利益が上がっていくにつれ、経営の新展開を考えます。
新たにサービスや商品を増やしたり、新規事業へと参入したりするのは代表例でしょう。
また、店舗数を増やして利益をさらに大きくしようとするプランもあります。 有能な事業主ほど、確実に経営を拡大させて収入アップにつなげていきます。
しかし、フランチャイズでは経営の拡大を事業主の判断ではできません。 フランチャイズ店舗は親会社の指示にしたがって経営方針を決定するのが原則です。
そのため、いくら高い利益を生み出している店舗でも、親会社の決定がなければ継続路線のまま経営を続けていきます。 また、新たに試したい事業内容があったとしても無断でスタートできません。何事も親会社に相談し、承認を得る必要があります。
フランチャイズでは事業規模に限界があり、有能な経営者ほど能力を制限されてしまいがちです。 チャレンジ思考の強い人にとってはフランチャイズのデメリットを強く感じるでしょう。
7
まとめ
どんなフランチャイズにもメリットとデメリットがあります。資金調達をサポートしてくれたり、知名度を利用できたりする点ではフランチャイズでの開業は大いにメリットを受けられます。
しかし、経営の自由度はかなり制限されるので「こんな店舗を持ちたい」というビジョンが明確な経営者ほど、フランチャイズの店舗では理想から遠ざかってしまうでしょう。
しかし、フランチャイズのシステムはグループによってそれぞれです。
自分に合ったグループを見つけ、条件を受け入れて開業できるのであればフランチャイズは経営に安定をもたらしてくれます。
フランチャイズで開業する際にも親会社に依存するのではなく、経営者自らが高い意識を持って事業に取り組むのが成功のコツでしょう。
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