【フランチャイズでのトラブル防止】問題を確認し訴訟を未然に防ごう
フランチャイズのトラブルを防ぐには、問題となりそうな原因がないかを確認し、十分な知識を身につけることが必要です。
フランチャイズをめぐるトラブルには、解約時の違約金・本部への不信や不満・契約前の説明との食い違いなど、さまざまなケースがあります。
どれもフランチャイズ特有のトラブルであり、訴訟に発展しないよう配慮しておきたい事項です。
フランチャイズにおけるトラブルや訴訟を防止するため、事例を通してトラブルの原因や対策を解説します。
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報告多数のフランチャイズでのトラブル
さまざまな機関がフランチャイズに関する相談室を設けています。
今回は「日本フランチャイズチェーン協会」が発表しているデータをもとに、フランチャイズにおけるトラブル・相談にはどのようなものがあるかを解説します。
フランチャイズ本部と加盟者の間のトラブルの件数、およびトラブル内容を以下に記載しましたので、参考にしてください。
年度 | 件数(相談を含めた総件数) | 多い項目 |
---|---|---|
2019 | 49(185) | ・解約関連(加盟金・保証金返還・違約金など) ・本部不信や不満 ・契約前の説明とのかい離 |
2020 | 64(172) | ・解約関連 ・本部不信や不満 ・契約終了 |
2021(9月末現在) | 80(135) | ・解約関連 |
参照:https://www.jfa-fc.or.jp/particle/2386.html
1-1. 契約前の説明とかけ離れている
フランチャイズ契約を結ぶ際は、必ず契約書の内容を説明しなければなりません。
売上予測の根拠やロイヤリティの金額などさまざまな項目について説明しますが、「説明で受けた内容と契約後の内容が違う」とトラブルになることがあります。
例えば売上予測の例で考えてみましょう。
売上予測はフランチャイズ本部が直営店での実績や商圏調査を行った上で算出されます。
あくまで予測であるため、「絶対に〇〇〇万円の利益がでる!」というものではありません。
それにもかかわらず、「絶対に利益が出る」と思わせるような説明をすると、トラブルが発生する可能性が高いです。
このほかにも、「本部からの指導が不十分」「売り上げが伸びないためロイヤリティを免除されると聞いた」など、思いもよらないトラブルが隠れています。
1-2. 解約・契約終了時の違約金問題
フランチャイズ契約の終了や解約にはさまざまな理由があります。
利益が出せず経営が悪化し解約せざるを得ないケースや、契約期間が終了し更新しないケースなど、経営者の事情により理由は異なります。
中には「契約違反」として強制的に契約を終了させられるケースもあるでしょう。
どのような場合に本部から契約を終了させられるかを契約書に示しておけば、たとえトラブルになったとしても本部が有利になります。
強制的に契約を終了するパターンとしては、「経営者が行方をくらました」「ブランドの品質を下げるような行為をした」「ロイヤリティの支払いを長期間にわたって拒否した」などのケースがあります。
これらのケースでは契約を強制的に終了されても仕方ないように見えますが、契約書に記載されていないとトラブルに発展しかねません。
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フランチャイズに関する訴訟からわかる問題の原因
相談室に寄せられたトラブルについて解説しましたが、実際の訴訟では複数の問題が複雑に絡み合っているケースがほとんどです。
ここからはフランチャイズ本部と加盟店の間での訴訟について事例を通して解説します。
ご紹介します事例は、平成30年~令和2年に判決が言い渡された比較的新しい事例です。
2-1. ロイヤリティの支払いを争った事件
最初にご紹介しますのは「ロイヤリティの支払いをめぐる事例」です。
この事例では令和2年6月に判決が言い渡されました(控訴後の判決、第一審は平成29年)。
本ケースでは、控訴人が加盟店(以下、加盟店)、被控訴人がフランチャイズ本部(以下、本部)であり、両者はフランチャイズ契約を結んでいましたが、加盟店がロイヤリティの支払いを怠り契約を解除。
契約の解除に伴い、未払いのロイヤリティと遅延損害金・生活指導員の派遣にかかる特別経費・特別経費の遅延損害金の支払いが第一審にて認められました。
しかしそれを不服とした加盟店が控訴。
第一審での敗訴部分を控訴しましたが、棄却されています。
この裁判での争点は以下の2つです。
※商標権譲渡契約に関する争いもありましたが、今回はロイヤリティの支払いに焦点を当てて解説します。
1.<ロイヤリティ支払い義務の有無>
加盟店の主張:ロイヤリティを支払うに値する支援業務がなかったため支払い義務がない
本部側の主張:事業開始前後を通じて支援業務を遂行していた
裁判所によると、「支援業務が不十分だ」と指摘した形跡がなく、生活指導員の派遣を受けた加盟店が本部への感謝の言葉を述べていることがわかる資料があることから、加盟店の主張が不採用になりました。
2.<ロイヤリティ支払い義務の猶予又は免除の有無>
加盟店の主張:
「口頭での未払いロイヤリティの支払い請求を受けた事実はなく、不払いが始まった後も特別経費の請求は受けたがロイヤリティの支払いには触れられていない」
「本部の取締役と話した結果、一定額以上の売上を解除条件としてロイヤリティの支払いを猶予すると合意したため、その期間のロイヤリティの請求がなかった」
「本部から渡された経費の請求書については、契約解除に伴う未払いのロイヤリティについて全額請求するという趣旨の記載がなく、『明確な合意に基づく解除条件付き支払い猶予があったものと解するべき』とあった」
本部側の主張:
「未払いのロイヤリティの支払いを免除した事実を裏付ける証拠がない」
「解除条件付きの猶予も書面などの証拠がなく、売上保証もしていないため本部がそれに合意する事情もない」
結果的に、裁判所は加盟店の主張を不採用としました。
支払い義務が免除された客観的証拠がないことや、「仮に解除条件付きの猶予が合意されていたとしても、売上が達しない場合に本部はロイヤリティの支払いもなく、それを理由にした契約解除もできない立場に立たされ不合理である」と考えたからです。
また未払いのロイヤリティの支払い請求がなかったことについては、「特別経費を請求する書面にロイヤリティの支払いについて記載されていなかったことが支払い義務の免除や猶予を裏付けるとは言い難い」と判断しました。
参照:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/556/089556_hanrei.pdf
2-2. 競業避止義務違反として争った事件①
平成30年12月に判決が言い渡された事件です。
原告はフランチャイズ本部(以下、本部)、被告はA(元加盟者)とB(Aの兄)ですが、この事例では「フランチャイズ契約の終了後に競業避止義務に違反した」として違約金と遅延損害金の支払いが求められました。
フランチャイズの競業禁止条項には、「契約終了後2年間は同業事業を自ら営むこと」「第三者に営ませることを禁止すること」「違反した場合はロイヤリティ月額の40倍の違約金を請求すること」が定められています。
Aはフランチャイズ契約終了後、Bを代表として同じ場所の店舗で同じ電話番号・FAX番号を利用し、同じ事業を開始しました。
さらに本部が著作権を有する標章を店舗の看板に使用し、本部運営のウェブサイトに掲載されていた写真もウェブサイトに使用していました。
この裁判での主な争点は以下の3つです。
1.<被告Bの営業主体性>
被告A・Bは、Bが営業主体である旨は否認しました。
また、「Bの名前をチラシやウェブサイトだけでなく運営に関わるものに使用すること」がAに許諾されたことはなく、AがBの意思を確認せずにBの名前を使用したとも主張。
一方本部側は、「ウェブサイトにBが代表者として表示されている」「被告店舗の所在する建物と同一の建物に居住していながらBがAの勤務状況について把握していないことなど考えられない」と主張しました。
裁判所はウェブサイト上で無関係の人物の名前を代表者として表示することはできるが、ウェブサイトに名前が表示されているからといって、被告事業を共同経営していた事実を推認することはできないと判断。
そして被告らの陳述のとおり、「Aが競業避止義務を免れるためにBの名前を無断で使用しウェブサイト上に記載したことがうかがわれるため、BとAが共同経営していた事実は認められない」としました。
さらに、Aが競業避止義務の範囲について本部とは異なる理解をしていた可能性を指摘。
また「BがAの実兄で同じ建物に住んでいるからといってAが営む事業の内容を知っていたとは限らず、仮に一部認識していたとしてもBが共同経営をしていたことを推認することはできない」と判断しました。
2.<被告AとBによる商標権侵害の成否>
本部は、「被告らが使用した標章と本部の商標は同一のものであり、被告Aが標章を使用した事業は本部の商標の指定役務に含まれる」と主張しました。
裁判所はBについては事業にかかる営業主体性が認められず、商標権侵害は成立しないと判断。
しかしAについては、「フランチャイズ契約の終了後約1年半にわたり標章としてそのまま使用し、類似の役務である事業を行っていたことが認められるため商標権侵害が成立する」としました。
3.<被告Bによる著作権侵害の成否>
本部は、「運営するウェブサイトに掲載した写真は、サービスの内容や効果がわかりやすいよう工夫されたもので創作性が認められ著作物に該当する」と主張。
また、「フランチャイズ契約の有効期間中のみ利用が許諾されたものであると知っていながら契約終了後も利用を継続し、著作権侵害について故意・過失がある」とも主張しました。
それに対し裁判所は、「Bに関しては事業にかかる営業主体性が認められず著作権侵害は成立しない」と判断しました。
参照:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/267/088267_hanrei.pdf
2-3. 競業避止義務違反として争った事件②
第一審が平成29年、請求がいずれも棄却されたため控訴し令和元年7月に判決が言い渡された事件です。
被控訴人はコンタクトの販売を検討している眼科医で、当時提携関係にあった控訴人にコンタクトレンズ販売店の経営に関する相談をしました。
事例で控訴人は、「被控訴人と控訴人との間のフランチャイズ契約は信義則に基づき競業避止義務を負っているにもかかわらずこれに違反した」と主張。
また、「被控訴人がデッドコピーと思われるチラシの配布や従業員の引き抜き・競業避止義務を負っているにもかかわらず違反している」と主張しました。
この裁判の主な争点は以下の3つです。
1.<チラシの著作物性>
控訴人が著作権を主張しましたが、裁判所は「ありふれた表現方法であり創作的に表現されたものという要件を欠くため、著作物に該当しない」と判断しました。
2.<チラシによる営業上の利益の侵害を理由とする不法行為>
控訴人は、「デッドコピーと思われるチラシを配布して集客効果を上げることは膨大な時間と労力を費やした成果を冒とくし、営業上の利益を違法に侵害するもの」と主張。
しかし被控訴人は、「控訴人が多大な時間を作成したと主張するチラシは他社によって作成されたものである」と否定しました。
裁判所は控訴人の主張を認めませんでした。
別件訴訟での本人尋問において、完成までに1年もの期間を要した理由について質問しても具体的な内容が説明されなかったこと、チラシの表現がありふれたものであったことなどが理由です。
3.<従業員の引き抜きによる不法行為の成否>
裁判所は、「控訴人の従業員が退職するに至る違法な働きかけが被控訴人により行われたと認められないため、従業員の引き抜きによる不法行為は成立しない」と判断しています。
参照:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/875/088875_hanrei.pdf
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フランチャイズ化のご相談は「ビジェントフランチャイズ」まで
フランチャイズにおけるトラブルや訴訟内容を見てみると、契約時の説明や契約書に記載された事項がかなり重要であることがわかります。
とはいえ、これらすべての事項を完璧に把握するのは容易ではありません。
そこでご活用いただきたいのが、弊社「ビジェントフランチャイズ」のサポートサービスです。
弊社はさまざまな企業のフランチャイズ化を支援してきた実績と知見をもとに、御社の事業のフランチャイズ化を丁寧にサポートいたします。
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「ビジェントフランチャイズ」4
まとめ
本記事ではフランチャイズにおけるトラブルや訴訟内容について解説しました。
フランチャイズをめぐるトラブルの中には、さまざまな要因が複雑に絡み合っているケースが少なくありません。
「話し合いで合意した」「合意していない」「○○と言った、言っていない」など、コミュニケーションにおける問題が発生していることもあります。
金銭が絡む問題では、証拠となる書面での合意や記録を残すことが非常に重要です。
トラブルから訴訟に発展させないためにも、あらゆるパターンを想定した上で契約書を作成するとよいでしょう。
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